「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズのファーストシーズン最終巻です。
主人公の和泉勝利が高校3年になる春から始まったこのシリーズも、
大学3年生の夏まで進みました。
物語上では、最初携帯電話も無かったはずですが、
この巻では写真を送信できる技術まで進んでいます。
というのは、このシリーズの開始が、1993年、今は無き『ジャンプノベル』で連載されていた作品。
それから現実の時間では、15年の時が経過しました。
機器の進歩もあるし、物語の時間も進むけど、進展しないのは二人の仲。
勝利が高校3年になる春に父親が長期出張のため、
同じく両親が長期出張することになった従姉弟と同居するところから始まる。
従姉弟のかれんと丈と同居することになり、
また5歳年上のかれんは、勝利の通う高校の新任美術教師だった。
勝利はやがてかれんに惹かれていくのですが……。
そんな始まりだったこのシリーズもいよいよ……。
最初、村山さんは単発のつもりで書いたそうです。
だから、1巻目の『キスまでの距離』は1年の時間経過をします。
その後、二人の関係は、スローラブストーリーとしか言えません。
『夢のあとさき』のあとがきでは、この作品の誕生秘話に触れられています。
また、村山さんが作家として認められるきっかけとなったアノ作品についても……。
物語は3年半の時間経過を経ましたが、
やはり恋愛を息長く書くというのは、そうとうの力がいることだと思います。
巻を重ねるごとに、どうしても他のキャラクターの葛藤を描いたりして、
青春群像劇のような内容になったりもするし、家族小説のようにもなったりするし、
とにかく変幻自在に形を少しずつ変えながら進んできました。
ただそれでも中心にあるのは、勝利とかれんの恋愛模様です。
今回は、とても純度が高い恋愛小説になっていました。
勝利の、負の部分ばかりが見えてしまう、読者としては気の重い話でした。
しかし、恋愛はきっとそういうものだと思います。
相手との関係を継続したいから、必死に悩むし、嫌なところも見えてくるし、
もしそういったことが何もないのなら、それはきっと恋じゃないと思う。
悩むのだけが恋だとは思わない。けど、きっと恋は自分を見つめるものなんだと思う。
勝利は今回、すごく悩みます。
悩んで悩んで悩んだ思いをかれんにぶつけて傷つけて……、
けれど勝利が言っていたように、「××××××とはしなかった。それだけは一度もない。」
と言っていたのには、かっこいいなぁと思ってしまうし、
これほどまでに、かれんを愛しているんだなと思えた。
まだこれから末永く御付き合いするシリーズだと思いますが、
変わらず楽しんで読んで生きたいと思っています。
主人公の和泉勝利が高校3年になる春から始まったこのシリーズも、
大学3年生の夏まで進みました。
物語上では、最初携帯電話も無かったはずですが、
この巻では写真を送信できる技術まで進んでいます。
というのは、このシリーズの開始が、1993年、今は無き『ジャンプノベル』で連載されていた作品。
それから現実の時間では、15年の時が経過しました。
機器の進歩もあるし、物語の時間も進むけど、進展しないのは二人の仲。
勝利が高校3年になる春に父親が長期出張のため、
同じく両親が長期出張することになった従姉弟と同居するところから始まる。
従姉弟のかれんと丈と同居することになり、
また5歳年上のかれんは、勝利の通う高校の新任美術教師だった。
勝利はやがてかれんに惹かれていくのですが……。
そんな始まりだったこのシリーズもいよいよ……。
最初、村山さんは単発のつもりで書いたそうです。
だから、1巻目の『キスまでの距離』は1年の時間経過をします。
その後、二人の関係は、スローラブストーリーとしか言えません。
『夢のあとさき』のあとがきでは、この作品の誕生秘話に触れられています。
また、村山さんが作家として認められるきっかけとなったアノ作品についても……。
物語は3年半の時間経過を経ましたが、
やはり恋愛を息長く書くというのは、そうとうの力がいることだと思います。
巻を重ねるごとに、どうしても他のキャラクターの葛藤を描いたりして、
青春群像劇のような内容になったりもするし、家族小説のようにもなったりするし、
とにかく変幻自在に形を少しずつ変えながら進んできました。
ただそれでも中心にあるのは、勝利とかれんの恋愛模様です。
今回は、とても純度が高い恋愛小説になっていました。
勝利の、負の部分ばかりが見えてしまう、読者としては気の重い話でした。
しかし、恋愛はきっとそういうものだと思います。
相手との関係を継続したいから、必死に悩むし、嫌なところも見えてくるし、
もしそういったことが何もないのなら、それはきっと恋じゃないと思う。
悩むのだけが恋だとは思わない。けど、きっと恋は自分を見つめるものなんだと思う。
勝利は今回、すごく悩みます。
悩んで悩んで悩んだ思いをかれんにぶつけて傷つけて……、
けれど勝利が言っていたように、「××××××とはしなかった。それだけは一度もない。」
と言っていたのには、かっこいいなぁと思ってしまうし、
これほどまでに、かれんを愛しているんだなと思えた。
まだこれから末永く御付き合いするシリーズだと思いますが、
変わらず楽しんで読んで生きたいと思っています。
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『のだめカンタービレ』で有名になった二ノ宮知子さんの『天才ファミリー・カンパニー』を読む。
夏木勝幸は、将来ハーバード大を出て経済界での活躍を夢見る天才高校生。
父親を交通事故で亡くした彼はこれまで母子家庭だったのだが、
ある日母親が再婚するというので、自称小説家の荘介とその息子・春と同居することに。
ところがこの父子は、とんでもない奴らだったのだ……。
完全にコメディです。
真面目な場面も勿論あるのですが、
真面目に受け取っていたら、勝幸くんではないですが疲れますww
ホントとんでもないマンガです。
『のだめカンタービレ』と確かに共通するところというのはあるのかな。
勝幸が千秋くんで、春がのだめちゃんだと思う。
『のだめ』を読んでいるときは、あまり気にならなかったのですが、
二ノ宮知子の絵って、吉田秋生に似ている気がします。
気のせいかもしれませんが、ふとそんなことを思いました。
……うん、何となくそんな気がしただけ。
本作の主人公は、天才高校生・夏木勝幸というわけですが、
このあたりも吉田秋生に似ているというか、
どちらも「天才」を主人公によくしますね。
おそらく、あと4巻出ると思うので、これからどうなっていくか楽しみにしておきたいと思います。
夏木勝幸は、将来ハーバード大を出て経済界での活躍を夢見る天才高校生。
父親を交通事故で亡くした彼はこれまで母子家庭だったのだが、
ある日母親が再婚するというので、自称小説家の荘介とその息子・春と同居することに。
ところがこの父子は、とんでもない奴らだったのだ……。
完全にコメディです。
真面目な場面も勿論あるのですが、
真面目に受け取っていたら、勝幸くんではないですが疲れますww
ホントとんでもないマンガです。
『のだめカンタービレ』と確かに共通するところというのはあるのかな。
勝幸が千秋くんで、春がのだめちゃんだと思う。
『のだめ』を読んでいるときは、あまり気にならなかったのですが、
二ノ宮知子の絵って、吉田秋生に似ている気がします。
気のせいかもしれませんが、ふとそんなことを思いました。
……うん、何となくそんな気がしただけ。
本作の主人公は、天才高校生・夏木勝幸というわけですが、
このあたりも吉田秋生に似ているというか、
どちらも「天才」を主人公によくしますね。
おそらく、あと4巻出ると思うので、これからどうなっていくか楽しみにしておきたいと思います。
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岸田るり子のデビュー作『密室の鎮魂歌(レクイエム)』を読了しました。
第14回鮎川哲也賞受賞作品です。
今回、この作品を読んで、ぼくはこれから暫くは注目する作家だと思いました。
これに関しては、密室殺人のトリックとか、ミステリ的なロジックとかはあまり重要ではありません。
はっきり書いてしまうと、大したことがない。
しかし、この人の小説の運び方は、非常に巧妙だと思います。
視点の選び方や、時系列の並べ方といったものは、驚きます。
だからこそ騙されるのか、しかし社会概念が邪魔をするのか、
それは定かではないのだけれど、言えることは女性の描き方が特筆して巧いと言う事。
男性があまり上手ではないということかといえば、
コレだけ読むと実はそう感じてしまうのは否めないのだが、
作品の性質上、仕方なかったのだろう。
その後の作品では、そちらが見事に解消されていると思える。
今年刊行された『過去への手紙』(理論社)の作品の出来栄えが、
大変良かったので、注目した作家なのである。
この人の小説の完成度から言えば、最初から充分備わっているものの、
『過去への手紙』は、ミステリとしても十二分に面白い作品なので、
オススメするなら、こちらの方なのだが……。
閑話休題。
非常に謎の提示は面白かった。
密室に関してではなく、例えば失踪した人物にあった刺青が、
なぜ面識の無い人物の描いたという絵に描かれていたのか、とか。
こういう部分に関して、あるいは心理的な部分で、
非常に面白みを感じる作品であった。
兎に角、今後注目すべきミステリ作家であることには変わりない。
一箇所おかしな点を指摘するなら、舞台が京都なのだが、
阪急電車の駅に“烏丸御池”という駅は存在しないことだろうか……。
第14回鮎川哲也賞受賞作品です。
今回、この作品を読んで、ぼくはこれから暫くは注目する作家だと思いました。
これに関しては、密室殺人のトリックとか、ミステリ的なロジックとかはあまり重要ではありません。
はっきり書いてしまうと、大したことがない。
しかし、この人の小説の運び方は、非常に巧妙だと思います。
視点の選び方や、時系列の並べ方といったものは、驚きます。
だからこそ騙されるのか、しかし社会概念が邪魔をするのか、
それは定かではないのだけれど、言えることは女性の描き方が特筆して巧いと言う事。
男性があまり上手ではないということかといえば、
コレだけ読むと実はそう感じてしまうのは否めないのだが、
作品の性質上、仕方なかったのだろう。
その後の作品では、そちらが見事に解消されていると思える。
今年刊行された『過去への手紙』(理論社)の作品の出来栄えが、
大変良かったので、注目した作家なのである。
この人の小説の完成度から言えば、最初から充分備わっているものの、
『過去への手紙』は、ミステリとしても十二分に面白い作品なので、
オススメするなら、こちらの方なのだが……。
閑話休題。
非常に謎の提示は面白かった。
密室に関してではなく、例えば失踪した人物にあった刺青が、
なぜ面識の無い人物の描いたという絵に描かれていたのか、とか。
こういう部分に関して、あるいは心理的な部分で、
非常に面白みを感じる作品であった。
兎に角、今後注目すべきミステリ作家であることには変わりない。
一箇所おかしな点を指摘するなら、舞台が京都なのだが、
阪急電車の駅に“烏丸御池”という駅は存在しないことだろうか……。
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春くらいから、三原順の作品を読み漁っている。
『はみだしっ子』、『ムーンライティング』、『Sons』、『ビリーの森ジョディの樹』など。
これらの感想もあるのだが、短編集を読んだので、
その感想を書くことにする。
『三原順傑作選’70s』という短編集。
ここに収録されているのは、三原順の成長そのものだと思う。
最初の「光と闇とをむすぶ糸」なんかは、
非常に昔の少女漫画的で好きだ。
こういう作品は今時絶対に見ないし、売れないと思う。
彼女の作品の一つの魅力は、物語の暗さ。
非常にシリアスなストーリーを読者に読ませるというのは難しい。
だが、彼女の作品はそれを感じさせず、のめりこませてくる。
話自体が難しいのだが、内面の掘り下げ方なんかは、
少女漫画随一の面白さだと思う。
この中で好きな作品をひとつ挙げるとすれば、
「イン・ア・ボックス イン・ア・ボトル」になる。
こういうくらい作品を読みたくて三原順を読んでいるのではなかろうか。
ラストのカタストロフがなんともいえないくらいぼくは大好きだ。
『はみだしっ子』、『ムーンライティング』、『Sons』、『ビリーの森ジョディの樹』など。
これらの感想もあるのだが、短編集を読んだので、
その感想を書くことにする。
『三原順傑作選’70s』という短編集。
ここに収録されているのは、三原順の成長そのものだと思う。
最初の「光と闇とをむすぶ糸」なんかは、
非常に昔の少女漫画的で好きだ。
こういう作品は今時絶対に見ないし、売れないと思う。
彼女の作品の一つの魅力は、物語の暗さ。
非常にシリアスなストーリーを読者に読ませるというのは難しい。
だが、彼女の作品はそれを感じさせず、のめりこませてくる。
話自体が難しいのだが、内面の掘り下げ方なんかは、
少女漫画随一の面白さだと思う。
この中で好きな作品をひとつ挙げるとすれば、
「イン・ア・ボックス イン・ア・ボトル」になる。
こういうくらい作品を読みたくて三原順を読んでいるのではなかろうか。
ラストのカタストロフがなんともいえないくらいぼくは大好きだ。
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『いつかパラソルの下で』は、これまでの彼女の作品とガラッと姿を変え、
非常に難しい、というか大人の小説に仕上げている。
これまでは、やはり児童文学というジャンルの中で、
非常に優れた作品を生んできた方だが、今回彼女にとって初の一般文芸だと思う。
つまり、大人として楽しめる小説なのだ。
主人公は、急逝した父親の一周忌を控えた野々という25歳のフリーター。
非常に厳格な父親に反発し、成人すると家を出た彼女が、
四十九日を迎える頃、
部下の女性から父親との関係を迫られたことを知らされたことから、
母親の様子は頻繁に病院通いを繰り返す。
父親の女性関係、過去を辿るべく、兄と妹と三人で父親の足跡を調べ始める。
これまで森絵都を読んできた良い子の諸君は、
1頁目から度肝を抜かれるんではないか。いろんな意味で、躊躇したww
でも、森絵都がこういったことを書きたいと思って書いているのだから、
それは読者があわせるべきだと思っているし、
いつものように森ワールドは健在だから、物語の中にすーっと入っていけた。
これまでの森作品と、明らかに違うのは性描写とお酒。
お酒を飲む場面というのは、児童書ではあまり見かけない
(性描写、あるいはそれに近いものは意外とよく書かれている)。
なんかお酒の場面があるのは、嬉しい。
川上弘美とか、お酒飲んでるのシーンが好きで、肴食べてるシーンが好きなんだから。
それは人間の、素面では見えない要素(人間像)が見えるから。
酔う、というのは、人物を深く掘り下げるひとつの手段だとぼくは思っている。
だからこそ、お酒の場面は面白いし、嬉しい。
最後の方の持って生き方が、森絵都の作品そのものだと思う。
なお、解説は最もなのだが、
森絵都のこれまでの作品のネタバレをかなり含んでいるので、
読まれていない方は注意が必要だ。
非常に難しい、というか大人の小説に仕上げている。
これまでは、やはり児童文学というジャンルの中で、
非常に優れた作品を生んできた方だが、今回彼女にとって初の一般文芸だと思う。
つまり、大人として楽しめる小説なのだ。
主人公は、急逝した父親の一周忌を控えた野々という25歳のフリーター。
非常に厳格な父親に反発し、成人すると家を出た彼女が、
四十九日を迎える頃、
部下の女性から父親との関係を迫られたことを知らされたことから、
母親の様子は頻繁に病院通いを繰り返す。
父親の女性関係、過去を辿るべく、兄と妹と三人で父親の足跡を調べ始める。
これまで森絵都を読んできた良い子の諸君は、
1頁目から度肝を抜かれるんではないか。いろんな意味で、躊躇したww
でも、森絵都がこういったことを書きたいと思って書いているのだから、
それは読者があわせるべきだと思っているし、
いつものように森ワールドは健在だから、物語の中にすーっと入っていけた。
これまでの森作品と、明らかに違うのは性描写とお酒。
お酒を飲む場面というのは、児童書ではあまり見かけない
(性描写、あるいはそれに近いものは意外とよく書かれている)。
なんかお酒の場面があるのは、嬉しい。
川上弘美とか、お酒飲んでるのシーンが好きで、肴食べてるシーンが好きなんだから。
それは人間の、素面では見えない要素(人間像)が見えるから。
酔う、というのは、人物を深く掘り下げるひとつの手段だとぼくは思っている。
だからこそ、お酒の場面は面白いし、嬉しい。
最後の方の持って生き方が、森絵都の作品そのものだと思う。
なお、解説は最もなのだが、
森絵都のこれまでの作品のネタバレをかなり含んでいるので、
読まれていない方は注意が必要だ。
![]() | いつかパラソルの下で (角川文庫 も 16-5) (角川文庫 も 16-5) (2008/04/25) 森 絵都 商品詳細を見る |






